先日、いつものように朝のコーヒーを飲みながら、ぼんやりと考え事をしていました。「AIをもっと創造的に使えないだろうか」という漠然とした疑問が頭に浮かび、何となくメモ帳を開いて思いつくままに書き始めたんです。
最初は単なる雑多な思考の断片の箇条書きでした。
AIの知能とは言語処理に強みがあり・・・
創造性とは探究であり、メンタルモデルの・・・
発想法は拡散からスタートするし・・・
記事は複数の候補から絞り込むというプロセスで・・・
思考整理って捨てることだし・・・
といった具合に、浮かぶアイデアを関連しそうなキーワードを無秩序に書き連ねていきました。その時は正直、これが何かの役に立つとは思っていませんでした。
でも、そのメモを見返したとき、ある発見をしたんです。この乱雑なメモは、素材であり、工夫次第で、幾つもの料理に化ける素材なのだと気づいたのです。
「ああ、そうか。AIに手伝わせるべきタスクは、ここか!」
このようなプロセスから生まれたのが、今日お伝えする「乱雑なメモから複数のコンテンツを生み出す方法」です。この方法を使えば、あなたの頭の中にある断片的なアイデアが、魅力的な 複数のコンテンツへ と変換することができます。
Step1: インスピレーションを捕まえる
創造的なアイデアは、予告なく訪れます。電車の中で、シャワーを浴びている時に、あるいは朝の散歩中に突然ひらめくことがあります。
そんな時、重要なのは「とにかく記録する」こと。関連性を気にせず、思いついたことを箇条書きにしたり、手書きのマインドマップに書き出したりします。
アイデアを時間をかけて蓄積していくのも良いでしょう。その場合でも、Zettel Kastenなどの厳密な方法を使う必要はありません(使っても良いです!)。
1つのファイルに、ただただ、箇条書きで並べておくのでも十分です。
なお、集中して書き出す時間と場所が確保できるなら、手書きのマインドマップが特に効果的です。中心に核となるキーワードを置いて、そこから放射状に連想を広げていくと、思わぬ方向に発想が展開していきます。
なお、「テーマから脱線しすぎかも...」と思えるくらい、アイデアの種を広げることをお勧めします。なぜなら、一見無関係に思える要素同士の組み合わせから、最も創造的なアイデアが生まれることが多いからです。
ここが重要なのですが、 なるべく知識と偶然の出会いをすること が大切です。普段読まない本を読んだり、行かない場所に出かけたり、関係のないと思われる趣味や、行動からも、アイデアの種を引っ張ってきます。
これは、 AIの中にはない、新しい組み合わせを創造することは、身体をもつ人間しかできないことだからです。
Step2: AIに理解できる形に整える
手書きのマインドマップや雑多なメモは、次にAIに理解できる形に変換します。
具体的には、箇条書きの形式に整理します。可能であれば、簡単な階層構造を持たせると、AIがより正確に意図を理解してくれます。例えば:
カテゴリA
思考の断片のメモ
思考の断片のメモ
思考の断片のメモ
カテゴリB
思考の断片のメモ
思考の断片のメモ
思考の断片のメモ
このような形式にすることで、AIに「関連性の糸口を与える」ことになります。同じカテゴリに属するものは同類、バリエーションとして理解され、カテゴリの意味がはっきりします。そして、カテゴリ同士の関係性を理解する手助けにもなると思います。
Step3: AIにアイデアを広げてもらう
ここからが本題です。整理した箇条書きをAIに渡し、記事のアイデアを出してもらいます。私がよく使うプロンプトはこんな感じです:
以下の箇条書きは、記事のアイデアメモです。メモから、どんな記事が作れそうか、複数のアイデアを出してください。記事アイデアは、箇条書きで、タイトルと簡単な内容の説明で出力してください。
このプロンプトを使うと、「複数の記事のアイデアリスト」を作ってくれます。アイデアリストは、「思いもつかなかった!」というものも、たまには出てきますが、大抵は、「そうそう、こういうのいいよね!」と思えるものが出てきます。
イメージとしては、「喉まで出かかってたものを、AIが口にしてくれた。しかも、複数」という感じです。
AIが生成したアイデアリストが「面白くない」と感じる場合、おそらく、インプットとなるあなた自身の情報収集や思考の幅に課題があるかもしれません。もっと、1つ1つについて深く思考したり、関係のない分野や、実体験を通じた気づきを増やすと良いでしょう。
Step4: 感情(直感)で選ぶ
AIから返ってきた複数のアイデアの中から、次に発展させるものを選びます。この時、最も大切なのは「感情」あるいは「直感」です。
論理的な判断ではなく、「これは面白そう!」「読んでみたい!」と直感的に感じたものを選びましょう。そして選んだアイデアをさらに発展させるために、次のようなプロンプトを使います:
「教えることで学ぶ」の現代版:AIとの対話が生み出す思考整理の価値」を記事(文章)にしてください。どんなものができるかを知りたいです。
これでAIは選んだアイデアをベースに、一つの記事として形にしてくれます。単なる構想が「文章として形になること」で、より具体的に面白く発展できそうか、そうでもないか?をチェックできます。
チェックする際は、「リライトすることで、面白くなりそうか?」という視点でチェックします。AIが生成する文章は、しばしば抽象的で具体性に欠けることがあります。これはAIが大量の情報から一般化するプロセスに起因していますが、技術的な詳細は割愛します。
とにかく、「あなたなりの体験や、微妙な表現に変えたら」面白くなりそうか?手を入れても、いまいちか?を想像して判断しましょう。
Step5: 可能性を広げ、形にする
他にも魅力的なアイデアがあれば、同様に記事化してみましょう。そして、その中から特に良いと感じたものを実際のコンテンツとして仕上げていきます。
もちろん、複数の記事を生み出してもOKです。むしろ、そうした方が良いでしょう。
私の経験では、一つの乱雑なメモから、3〜5個の異なる記事が生まれることも珍しくありません。それぞれが違った角度から同じテーマに光を当てているので、シリーズ記事としても活用できます。
創造性を増幅させるAIの使い方
私は、この方法を気に入っています。なぜなら、私たち人間の創造性(身体性が伴ったもの)とAIの処理能力を組み合わせている点です。最初のインスピレーションとアイデアの選択は人間が行い、それを広げて整理し、プロトタイピングを手伝うことをAIが担当します。
つまり、人間の知性・暗黙知・セレンディピティなどの「人間らしさ」と、AIの高度な言語処理能力を掛け合わせ、記事創造プロセスにしているという点です。
AIに仕事を奪われたりするのではなく、AIで人を解雇するのではなく「創造性」を増幅させる使い方になっているのが、お気に入りのポイントです。
是非、活用してみてください!